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判例情報Exam questions

平成23年度(2011年度)2011.4-2012.3

最判平成23年4月22日 民集第65巻3号1405頁

契約の一方当事者が,当該契約の締結に先立ち,信義則上の説明義務に違反して,当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には,上記一方当事者は,相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき,不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別,当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはない。
(補足意見がある。)


最判平成23年6月3日 集民第237号9頁

表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えは,次の(1)〜(3)の事情の下では,確認の利益を欠く。
(1) 国は,当該土地が国の所有に属していないことを自認している。
(2) 国は,上記の者が主張する取得時効の起算点よりも前に当該土地の所有権を失った。
(3) 上記の者において,当該土地につき自己を表題部所有者とする登記の申請をした上で保存登記の申請をする手続を尽くしたにもかかわらず所有名義を取得することができなかったなどの事情もうかがわれない。


最判平成23年7月12日  集民第237号215頁

消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付されたいわゆる敷引特約は,保証金から控除されるいわゆる敷引金の額が賃料月額の3.5倍程度にとどまっており,上記敷引金の額が近傍同種の建物に係る賃貸借契約に付された敷引特約における敷引金の相場に比して大幅に高額であることはうかがわれないなど判示の事実関係の下では,消費者契約法10条により無効であるということはできない。
(補足意見及び反対意見がある。)


最判平成23年7月15日 民集第65巻5号2269頁

1 消費者契約法10条は,憲法29条1項に違反しない。
2 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。


最判平成23年7月21日 集民第237号293頁

最高裁平成17年(受)第702号同19年7月6日第二小法廷判決・民集61巻5号1769頁にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する。


最決平成23年10月11日 集民 第238号1頁

建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に,その譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない。
(補足意見がある。)


最判平成23年12月16日 集民第238号297頁

1 注文者と請負人が建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約を締結した場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,上記請負契約は,公序良俗に反し,無効である。
(1) 上記請負契約は,建築基準法所定の確認及び検査を潜脱するため,法令の規定に適合した建物の建築確認申請用図面のほかに,法令の規定に適合しない建物の建築工事の施工用図面を用意し,前者の図面を用いて建築確認申請をして確認済証の交付を受け,一旦は法令の規定に適合した建物を建築して検査済証の交付も受けた後に,後者の図面に基づき建築工事を施工することを計画して締結されたものである。
(2) 上記建物は,上記(1)の計画どおり建築されれば,耐火構造に関する規制違反や避難通路の幅員制限違反など,居住者や近隣住民の生命,身体等の安全に関わる違法を有する危険な建物となるものであった。
(3) 請負人は,建築工事請負等を業とする者でありながら,上記(1)の計画を全て了承し,上記請負契約の締結に及んだのであり,請負人が上記建物の建築という注文者からの依頼を拒絶することが困難であったというような事情もうかがわれない。
2 建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする公序良俗違反の請負契約に基づく本工事の施工が開始された後に施工された追加変更工事は,同工事が区役所の是正指示や近隣住民からの苦情など様々な事情を受けて別途合意の上施工されたものであり,その中には上記本工事の施工によって既に生じていた違法建築部分を是正する工事も含まれていたという事情の下では,上記追加変更工事の中に上記本工事で計画されていた違法建築部分につきその違法を是正することなくこれを一部変更する部分があるのであれば,その部分は別の評価を受けることになるが,そうでなければ,その施工の合意が公序良俗に反するものということはできない。


最判平成24年1月17日 集民第239号621頁

マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は,それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので,それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある。


最決平成24年1月26日 集民第239号635頁

1 遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には,遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される。
2 特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合,当該贈与に係る財産の価額は,上記意思表示が遺留分を侵害する限度で,遺留分権利者である相続人の相続分に加算され,当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。


最判平成24年2月16日 集民第240号19頁
マンションの敷地について仮換地の指定がされた場合において,従前の宅地の形状は正方形に近いのに対し当該仮換地の形状は正方形の一角が張り出している分だけ不整形となり,従前の宅地は北側と南側で道路に接しているのに対し当該仮換地は南側で道路に接していないとしても,次の(1)〜(6)など判示の事情の下では,当該仮換地の指定は,照応の原則を定める土地区画整理法89条1項に違反しない。
(1) 当該仮換地は,従前の宅地とほぼ同じ位置に指定されたいわゆる現地仮換地であり,マンションの移転や除却が必要となるものではない。
(2) 当該仮換地の地積は,従前の宅地の地積よりも約5%増加している。
(3) 当該仮換地の上記の張り出し部分は,上記の地積増加分にほぼ対応している。
(4) 当該仮換地は,上記の張り出し部分が加えられたことによって東側でも道路に接することとなり,北側と東側の各道路の幅員も従前の宅地の北側と南側の各道路の幅員より広くなっており,当該仮換地のマンションの敷地としての利用価値が従前の宅地と比較して特に減少したとは認め難い。
(5) 当該仮換地における電線や排水管等の設備の利便性が従前の宅地と比較して低下したとはいえない。
(6) 近隣の鉄道の騒音等の当該仮換地の環境条件が従前の宅地の環境条件と比較して特に悪化しているとはうかがわれない。


最判平成24年3月16日 民集第66巻5号2321頁

不動産の取得時効の完成後,所有権移転登記がされることのないまま,第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において,上記不動産の時効取得者である占有者が,その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を授用したときは,上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り,上記占有者が,上記不動産を時効取得する結果,上記抵当権は消滅する。
(補足意見がある。)




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